08.*告白*

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「……なに? 焼そばって」 「俺と彼女の秘密」 「はあ?」 もぐもぐと口を動かしながら、空は人差し指を自分の口許に持ってきて片目をつぶる。 ちょっと、いや、相当気持ち悪いけど、大方それが狙いだと思うから敢えて口には出さなかった。 「……つかさー、海くん」 ホテルの部屋から見える夜景を見つめながら空が言う。 カラン、と飴と歯がぶつかって音をたてた。 「オマエ、フラれたことないだろ」 「……なに、徐(おもむろ)に」 「やー、だからあんなこと言えるんだろうなって思ってよー」 「………」 空の言い方はあくまで、ダラッと力の抜けるような口調だ。 だけど、それでいて核心を突く。 「……何が言いたいの」 「ハハ、イケメンは得だなってさ。 オマエ、自分がすんげぇ発言してたこと分かってる? これね、世の中の九割を占める普通の男は言えないから」 「………何が」 「『同情からくる恋情』って。 あんな余裕な発言。 好きな子に言われて返す言葉かよ」 「………」 「冷静すぎんだよ、オマエ」 突き放すような言い方がカチン、ときた。
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