08.*告白*

6/11
前へ
/675ページ
次へ
「何で入れ込んでることになんの、それ」 「やー、思いやり過ぎてるからだろそりゃ。 相手が後悔するかもしれないから、俺は退く。 さすがイケメン」 「………」 茶化すような言い方。 いちいちそれが癪(しゃく)に触るのに、言い返す言葉が見つからない。 せめてもの反抗に、ベッドから下りてソファに腰かけた。 近かった空との距離が遠くなる。 「なぁ、海。 恋情の証明なんてできるわけない。 後悔するかどうかなんて、やってみなきゃ分かんねーだろ」 「……」 背後から、空が訴えかけるように俺を呼ぶ。 別に可笑しくもないのに、ふっと笑いが漏れた。 「……なんだよ」 「…や、残酷だなって思ってさ」 振り返ると怪訝な顔で俺を見ている空と目が合う。 真面目に言っているんだな、と分かるとさらに嫌な感情がわき上がった。 「……朝比奈さんと付き合うこと。 お試しみたいに言ってんな」
/675ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2485人が本棚に入れています
本棚に追加