08.*告白*

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「……そーだな」 ベッドの上。 俺の苛立ちとは真逆の様子で、首の後ろをポリポリと掻きながら空は返事を返す。 その余裕そうな態度が「他人事」と言わんばかりでますます苛々した。 だけど空はそういうことは気づかないふりをして、そのまま続ける。 「でもさー、海。 それ関係ねーよ、やっぱり」 「はっ?」 「どんなにデカイ肩書きがあったって、俺らは所詮人間だろ? 本能には負けるって」 カラカラ、と軽い笑い方。 今まで一体俺の話の何を聞いていたんだって疑いたくなるくらい。 しかもつかみ所までないときた。 「どういう意味?」 空からみたら確実に睨んでるようにしか見えないであろう、顔を向けて話を促すと、「んー」と、明らかに悩んでいないような曖昧な返事の後、 「婚約者ができようが、できまいが所詮、そんなものはただの上部だけの話ってことだよ。 それだけで忘れられるほど、恋愛は甘くねーぞ」 と少し真剣な目で言った。
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