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「こんなヤツとは仲良くないから。」
明るかった愛咲ちゃんの声。
一気にトーンが大分下がった。
「えっ……、と……」
地雷踏んだかな、あたし。
心の中でアワアワしながら、助けを請うように飯島くんを見る。
飯島くんはあたしの心の声を知ってか知らずか、小さくため息を吐いて口を開いた。
「……朝比奈さん、おでこ痛くない?」
「えっ?」
「さっき、打ったとこ」
「えっ、……えっ?」
なに、いきなり。
意味が分からなくて、首を傾げたまま飯島くんを見ると、飯島くんはゆっくりとあたしの前髪を手の甲で押し上げた。
「……ほら、やっぱり。
赤くなってる」
あたしを覗き込む顔。
痛いほど注がれる視線と、近距離まで迫ったその顔があたしの心臓をドキドキさせる。
「へっ…、平気、です…」
「うそ。
さっきから、ずっと思ってたんだよね。
ぶつけたときスゴイ音したから」
「………」
確かに、ちょっと涙目にはなったけど。
でも、机に突っ伏してると思ってた飯島くんがそこまで見てたんだって思うとものすごく恥ずかしい。
あたしってば、こんな時にすら格好つけられない。
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