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「保健室、行こうか?」
にっこり。
満面の笑みを浮かべて言う飯島くん。
あたしはそれにビックリして、ガタッと思わず椅子を引いた。
「いやいやいやっ!
そ、そんな大袈裟なっ!」
「女の子が、顔に傷つくったら、大変でしょ?」
「そんな、大層な顔持ってませんからっ!
大丈夫ですっ」
「そんなことはないんじゃない?」
机に肘をついて、その手に顎を乗せながらにっこり笑う飯島くん。
あたしのこと、好きじゃないのにこんなフォローはなんか痛い。
心の中でほんの少し毒づいたことを思いながら、ため息と化して吐き出した。
そのため息が、愛咲ちゃんと被って思わず顔を上げて愛咲ちゃんを見る。
目が合った瞬間、愛咲ちゃんが飯島くんを睨みながら口を開いた。
「行くことないよ。風花ちゃん。
そいつ顔が良くても、女ぐせ悪いから。
保健室、なんて風花ちゃんみたいな可愛い子が行っちゃダメ」
「………」
飯島くんが目を細めた。
沈黙が流れる。
……あぁ、この子飯島くんが営業部だって知ってるな、とその反応を見ながら何となく思った。
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