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「昼寝ーっ?
今、授業中なのに?」
「大丈夫。
マラソン一位取ったら、保健室で寝てていいって言われたから」
飄々とそう返事を返して、飯島くんは寝返りを打つ。
その目が一瞬、チラッとあたしを見た。
「それで、何で告白されてんのよ」
「さぁね。
たまたま」
「たまたまって、そんなわけ…」
「どうでもいいよ。そんなこと」
飯島くんはほとんど無理矢理愛咲ちゃんとの会話を終了させて、ゆっくりと長椅子から起き上がった。
そして、そのまま冷凍庫の前にしゃがみこんで、その扉を開く。
中から取り出したのは、製氷トレーだった。
「え…、飯島くん、それ何に使うんですか?」
「……は?」
あたしの質問に飯島くんは、面食らったような顔をして、
「あんたの顔を冷やすのに使うんだけど」
額を押さえて、そう言った。
「……あっ、あぁっ!
あ、ありがとう、ございます…!」
「何で忘れてんの」
アホだね。
そう続きそうな口調で言いながら、飯島くんは製氷トレーから氷を何個か取り出して、ビニール袋の中に入れた。
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