09.*偽悪*

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「ふーん。 ほいほい、付き合ったりしないんだ」 「……さぁ? どうだろうね」 「………」 あくまで飯島くんの返事は"曖昧"をキープ。 いい人なのか、悪い人なのかすら分からないような適当な返事。 それが飯島くんの口調から読み取れたようで、愛咲ちゃんも思いきり不服そうに顔を歪めた。 「……そんなに、あたし嫌い?」 「さぁね。」 「さぁねって……、分からないわけないじゃん」 「そうかもね」 「……。 なんか…、ずるい。 ……分かった。 質問変更。 風花ちゃんに告白されたらフる?」 「………」 ピタ、と飯島くんの言葉が止まった。 ベッドのスプリング音だけが保健室に響く。 「フりますよ」 飯島くんより先に答えていたのはあたしだった。
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