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「……み――、……海っ!」
「……っ」
耳元でうるさい声が聞こえて、思い切り顔をしかめる。
ゆっくり顔をあげると、そこには案の定予想通りの女が居た。
「……なに、杏奈」
今、夜中の2時なんだけど。
杏奈の肩越しに見えた時計を睨みながら、ベッドに転がったままため息をつく。
そのままグルグルと毛布にくるまると、それを杏奈に引っぺがされた。
「……ねぇ、ちょっと。
マジで返してよ」
「その前にあたしの質問に答えなさい」
「はぁ?」
夜中の二時に起こしといて、なんで威張ってるの、こいつ。
左手を腰に当て、右手で俺の毛布をヒラヒラと悪びれもなく振る女に一種の殺意が芽生える。
眠気で火照った身体が急に外気にさらされて冷えて寒いから余計。
思い切り杏奈を睨む俺にも、彼女は動じず、…いや、寧ろ杏奈が俺を睨みながら声をあげた。
「……あんた。
何で、愛咲との婚約話受けてるのよ」
「……」
いつか絶対、この質問は来ると思っていた。
…まさか、夜中の2時とは想定していなかったけど。
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