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「……まぁ…、気分的な。
愛咲、キライじゃないし」
「そういう問題じゃないでしょ!
何でそんな展開になってるのよ!?
愛咲ちゃん、あんたのことキライだったじゃない!」
「なんか好きになったんだって。
…つーか、今夜中だよ?
さすがに非常識じゃない? 近所迷惑」
「近所に聞こえるほどこの家狭くないでしょーが」
「……」
あぁいえば、こういう。
その平行線。
この言い合いから逃れる術はないな、と頭を掻いた。
「ここで断ったって結果は変わらないでしょ。
どうせ誰かと結婚するんだから」
「だけど……っ!」
「あんたの言いたいことは分かるよ。
だけど、その場しのぎで断ったって後悔するに決まってる」
「………」
俺の言いたいことは分かってくれたらしい。
杏奈は口を噤(つぐ)んだ。
けれど、不服そうなふくれっ面は変わってない。
子供みたいだな、と眺めているとやがて杏奈は口を開いた。
「……でも、ほんとは、後悔してるでしょ?」
「……は?」
俺の話、ちゃんと聞いてた?
振り出しに戻るような発言に、顔をしかめて杏奈を見ると杏奈は伺うように俺を覗き込んできた。
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