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もしも神様がいるなら。結構冷たいのかなと思った。
「カイー!
今日の放課後、デートとかどう?」
「……遠慮しとく」
あたしの後ろの席。
今まではずっと静かだったその場所が、愛咲ちゃんが来てからヤケにうるさくなった。
「何でよー!
婚約者に冷たくない!?」
「そーね。 声大きいね。
俺への配慮も少しはしようか」
…それより、あたしへの配慮をして下さい、飯島くん。
心の中で決して口には出せない悪態をつく。
あたしは確かに飯島くんに好きって告げて、これから全力でアタックします的な宣言に似たものをしたはず。
…忘れちゃったのかなっていうくらい見せつけられてる気がするんだけど…。
「……」
ギー…、とゆっくり椅子を引いて、机に突っ伏す。
それでも塞がれない耳には容赦なく仲の良さそうな二人の会話。
へこむ、というより落ち込む。
あたしのが愛咲ちゃんよりずっと先に飯島くんを好きになったはずなのに、この敗北感は何だろう。
恋に、後先なんて関係ないって分かっているけれど。
それでもアタックしている時間が明らかに愛咲ちゃんの方が短い分、先行きが不安だった。
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