10.*悪事*

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「風花ぁー? 何落ちでんのー?」 「……いっちゃん」 あたしの前の席が休み時間の今、空席なことをいいことにそこの椅子を引いて腰掛けるいっちゃん。 いっちゃんに相談しようかな、とも思ったけど当の本人が後ろにいるから、それをすることは叶わなかった。 「…うん。 あたしって不甲斐ないなぁ…って……」 「アハハ、今更だねぇ」 「……」 「ありっ? ちょっと、風花? 落ち込まないでよ!」 「お、落ち込むよ……」 いっちゃんの方にちょっとだけ上げていた顔をまた突っ伏して、気分は更に急降下。 真っ暗で、木の臭いだけを嗅覚で感じながら小さくため息を吐く。 「……杏奈先輩はしっかりしてたんだよなぁ…」 「…え?」 一人ポツリ、と呟いた言葉にいっちゃんが聞き返すけど、それには答えなかった。 杏奈先輩は可愛い。 杏奈先輩はしっかりしてる。 杏奈先輩は大人っぽい。 杏奈先輩は飯島くんのこともよく知っている。 ……あぁ、あたしとは完全に真逆だ。
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