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「風花ぁー?
何落ちでんのー?」
「……いっちゃん」
あたしの前の席が休み時間の今、空席なことをいいことにそこの椅子を引いて腰掛けるいっちゃん。
いっちゃんに相談しようかな、とも思ったけど当の本人が後ろにいるから、それをすることは叶わなかった。
「…うん。
あたしって不甲斐ないなぁ…って……」
「アハハ、今更だねぇ」
「……」
「ありっ?
ちょっと、風花?
落ち込まないでよ!」
「お、落ち込むよ……」
いっちゃんの方にちょっとだけ上げていた顔をまた突っ伏して、気分は更に急降下。
真っ暗で、木の臭いだけを嗅覚で感じながら小さくため息を吐く。
「……杏奈先輩はしっかりしてたんだよなぁ…」
「…え?」
一人ポツリ、と呟いた言葉にいっちゃんが聞き返すけど、それには答えなかった。
杏奈先輩は可愛い。
杏奈先輩はしっかりしてる。
杏奈先輩は大人っぽい。
杏奈先輩は飯島くんのこともよく知っている。
……あぁ、あたしとは完全に真逆だ。
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