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それに比べて、愛咲ちゃんはどこか杏奈先輩と似てるところがあるなと思う。
杏奈先輩より幾分増しに強気で素直だけれど。
少なくても、あたしの真逆とは別物だ。
「……迷惑、だよなぁ…」
こんなのに好かれても。
そりゃ、……当たり前で、今更だろうけど。
うぅーっ、と唸って顔を突っ伏したまま両手に頭を擦りつけていると、目の前のいっちゃんがポンッとあたしの頭の上に手を置いた。
それがなでなで、とあたしの頭の上を動く。
そして優しい口調で、あたしに告げた。
「…どうしたのか、あたし分からないけどね?」
「……うん」
「……あたしは、抜けてて。
どこか子供みたいで。
でも天真爛漫な、風花が好きだよ」
「………」
いっちゃんが慰めてくれているのに、どこか納得できないあたしの心。
あたしが、あたしを納得できない。
「高校生になると、女の子が女になるよね」
「……うん?」
「なんか、純粋さに欠けるっていうか。
強(したた)かになるっていうか。
そういうの、風花はないからさ」
「………」
未だだんまりなあたしに困ったようにいっちゃんは頭を掻いて。
「好きだよって言いたいんだけど、なかなか伝わらないね」
と苦笑した。
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