10.*悪事*

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それに比べて、愛咲ちゃんはどこか杏奈先輩と似てるところがあるなと思う。 杏奈先輩より幾分増しに強気で素直だけれど。 少なくても、あたしの真逆とは別物だ。 「……迷惑、だよなぁ…」 こんなのに好かれても。 そりゃ、……当たり前で、今更だろうけど。 うぅーっ、と唸って顔を突っ伏したまま両手に頭を擦りつけていると、目の前のいっちゃんがポンッとあたしの頭の上に手を置いた。 それがなでなで、とあたしの頭の上を動く。 そして優しい口調で、あたしに告げた。 「…どうしたのか、あたし分からないけどね?」 「……うん」 「……あたしは、抜けてて。 どこか子供みたいで。 でも天真爛漫な、風花が好きだよ」 「………」 いっちゃんが慰めてくれているのに、どこか納得できないあたしの心。 あたしが、あたしを納得できない。 「高校生になると、女の子が女になるよね」 「……うん?」 「なんか、純粋さに欠けるっていうか。 強(したた)かになるっていうか。 そういうの、風花はないからさ」 「………」 未だだんまりなあたしに困ったようにいっちゃんは頭を掻いて。 「好きだよって言いたいんだけど、なかなか伝わらないね」 と苦笑した。
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