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「あのっ、飯島くん!」
お昼休み。
渡り廊下。
欠伸をしながら、体育館倉庫に向かう飯島くんに声をかける。
飯島くんは目を擦りながらこちらを振り返って、ダルそうにあたしを見た。
「……何」
「……」
………あれっ?
不機嫌かな……。
いつもとちょっと態度が違うような気がして、それに一瞬怯む。
でもきっと、臆病風に吹かれただけだろう、と自分に言い聞かせてムリに笑顔を作った。
「えっと、あの、…お、お久しぶり、です…」
「……毎日、教室で会ってるけど」
怪訝そうな顔で少し離れた距離からあたしを見る飯島くん。
なんか刺々しく感じるのはあたしの気のせいかなと、首を傾げながらぎゅっとお腹の前で両手を握った。
「あ、会っては……いますけど。
でも、なんか最近喋れてないから……」
「…つまり、用はないってこと?」
「…へっ!?
えっ、あ……、いや、あの、それはそうなん――」
「じゃあ、もういいよね。
俺、眠いから。 バイバイ」
「えっ…あのっ……」
片手を伸ばして飯島くんを止めようと、顔を上げたときには既に遅し。
あたしの目には飯島くんが踵を返して廊下の向こうにスタスタと歩いて行く姿しか映らなかった。
……避けられてる、気がするのは。
これもあたしの被害妄想なんだろうか。
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