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『俺に対しての執着なんかない』
そう言い切った飯島くん。
あたしが好きって言ったことで飯島くんの自信になればいい、と本当に思っていた。
あたしが飯島くんに教えてあげるんだって。
あたしが飯島くんがどれだけ素敵な人なのか知らせてあげるんだって。
心のどこかで意気込んでいたし、その自信もあった。
でも、いざ愛咲ちゃんが目の前に出てきてあたしとの圧倒的な差を見せつけられると、正直怖い。
自信がどこかへ逃げ出した。
割り切ればいいんだと思う。
飯島くんに自信を与えられるなら愛咲ちゃんでもいいじゃないかって、そう思えればいいんだと思う。
だけど我が儘なあたしがそれを断固として許さない。
あたしが教えたい。
他の人の『好き』なんかで分かって欲しくない。
理性も伴わない、我が儘なあたしが心の奥底で泣き叫ぶ。
「………」
踵を返して去っていった飯島くんが遠い。
その背中を見送って、あたしも彼に背を向けた。
自分が、怖い。
コントロールできなくなりそうだ。
いつか、この我が儘口にしてしまいそうで、怖い。
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