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ガヤガヤ、と賑わう朝の駅。
Suicaを握って改札を通り、いつもの下りの電車に向かう。
心臓がドキドキしていた。
今日の時間は、いつもとは違うから。
以前飯島くんと一緒に登校していた時間の二本前の電車の時刻が電光掲示板に光る。
今日は飯島くんと同じ電車に乗ろうと決めていた。
いつ来るか分からないから早めに出たのだけれど。
「ハー…」
胸に手を当てて大きく深呼吸。
平常心、平常心。と自分に言い聞かせる。
学校で話す機会がないなら、電車に限る。
せっかく同じ駅から乗るんだし、これを逃す手はない。
人気は多いけれども、出勤の大人の人が多いために混むのは上り。
すかすかの下りの電車のエスカレーターに乗って、駅のホームに下りる。
動かぬ地面に着地して、ゆっくりと顔をあげると。
「………あ」
携帯電話をカチカチと操作している飯島くんがいた。
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