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「……、朝比奈さ――」
「カイーーーっ!」
「……」
聞き慣れた声がして、ハッと振り向く。
あたしがさっきまで居たエスカレーターからピョンッとホームに着地して笑って手を振ってるのは愛咲ちゃん、だった。
「……あ…」
「あっ、風花ちゃんだ!
おはよーっ」
「お…、おは、よう…」
ハハ、とぎこちなく笑って愛咲ちゃんの元気な挨拶に小さく手を振って返す。
飯島くんはあたしの目の前で大きなため息を一つ吐いた。
スタタタ、と走ってきた愛咲ちゃんは飯島くんの態度を見てムーッと顔を顰める。
「ちょお、カイ!?
ため息はないでしょう!ため息は!」
「…いや、俺の反応普通だと思うよ」
「普通じゃないよっ!
女の子が走ってきたら喜ぶのが健全な高校生男子ってものでしょうに!
ねぇ? 風花ちゃん!」
急に話しを振られて曖昧に笑って頷いたような、首を傾げたようなジェスチャーで誤魔化す。
けど、ポジティブな愛咲ちゃんは肯定と捉えたのか「ほらー!」と言って飯島くんに抗議した。
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