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「う、嘘だっ……」
「……何で」
あたしを抱きしめる腕の力は緩めないまま、飯島くんが不服そうに耳元で囁く。
一方あたしは泣きっぱなしのまま飯島くんの袖にひたすらしがみついた。
「……っ、だって…」
「ん?」
「飯島くん、あたしが飯島くんをどれだけ好きか、知らないじゃないですか」
「……」
「だっ、黙るのなしっ、ね!
ずっ、ずるい、から…っ!」
「……ふ」
飯島くんがあたしをぎゅっと強く抱きしめながら耳元で笑う。
それにムキになったあたしは
「なっ、何が可笑しいんですかっ…!」
と飯島くんの肩に、軽く頭突きをした。
そうするとさらに飯島くんがククッと笑う。
「あ、朝比奈さん…、泣きすぎでしょ…」
「……」
「や、やべっ…。
ちょ、ほんとツボ…」
ハハっ、と飯島くんが吹き出して。
あたしの身体は飯島くんの笑いによっての震えで若干それに揺さぶられる。
結局、答えてないじゃないか。
心の中でうまく逃げられたような感じがして、納得できないままあたしは飯島くんの肩に顔を埋めて、飯島くんの笑いが収まるのを待った。
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