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「ただいま」
「……カイ?」
ガチャッ、とドアを開けて家の中に入ると、ジャージ姿の岳がタオルで頭を拭きながら俺を見てきた。
片手にスポーツドリンクを持っている。
髪も濡れていた。
たぶん朝風呂から出た直後なんだろう。
まだ眠いらしく、重そうな眼瞼を擦っている。
「……おはよ」
「…いや、なんでお前いるんだよ。
学校どうした」
「ちょっとね。サボリ」
そう言って、近くにいたメイドに学生鞄を放り投げる。
ピンポイントで腕の中に収まったそれをぎゅっと抱え、横にいたメイドは一礼してその場を去った。
「…いや、サボリってお前…。
何事だよ?」
「まぁ、ちょっと人生に関わる分岐点に立っちゃったから。
"お父様"に、ちょっとご相談を」
「……ふーん?」
イマイチ理解してない、という顔で岳が首を傾げる。
けど、それほど興味もなかったようでそれ以上は何も突っ込んでは来なかった。
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