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お昼休み。
教室。
お弁当の中のタコさんウィンナーをフォークにさして、口に放り込むと同時にいっちゃんがあたしに唐突に言い出した。
「なんか良いことあったでしょ。
風花」
「んぐっ…」
思わずタコさんを口から逃がしてしまいそうになって、それを寸止めする。
もぐもぐと高速スピードで噛み砕き飲み込むと、いっちゃんは怪訝な顔をしてあたしを覗き込んだ。
「何を隠してるの。言いなさい」
「い、いやいや、何でも…っ!
っていうか、ここでは言えない…っ!」
言いながらきょろきょろと教室を見回す。
幸か不幸か、飯島くんの姿は見当たらなかった。
「えぇー! 何ーっ?
気になるよ!
風花、基本秘密主義なんだもん」
「ご、ごめん…、いっちゃん。
べ、別に話したくないわけじゃないんだけど…」
言葉を濁しながら苦笑すると、いっちゃんは不服そうな顔をしながら口の中にポイッと卵焼きを放り込んだ。
「…別に、いいけどさー。
あたしにも、何でも話してよ?風花」
「うん、ごめん。 ありがとう」
ハハ、と苦笑しながらもう一度教室を見渡す。
飯島くんは、体育館倉庫かなと思いを巡らせた。
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