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「……」
…来てしまった。
ちょっと日影になって背丈の低い湿った草が鬱蒼としているその場所に、一人佇む。
目の前には飯島くんがいるであろう、体育館倉庫。
新築だからか、そこだけ真新しい雰囲気を醸し出していた。
……どうしよう。
声、かけるべきだよね…?
体育館倉庫の前でひたすらウロウロしながら考える。
会いたかった、じゃ最初からがっつきすぎていて嫌がられるような気がする。
だけど、『よう!』って気楽に話しかけられるほどの余裕はない。
っていうか、あたし『よう!』なんて使ったことあったっけ…!?
「う、うわー…」
飯島くんに聞こえないように小さな声をあげて、その場にしゃがみ込んだ。
あんなに女の子扱い慣れてそうな飯島くんに、こんな免疫のないあたしでいいんだろうか。
今更の、そしてとても幸せな悩みに頭を抱えながら葛藤してるとふいに声がかかった。
「……安眠妨害」
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