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「……声、聞かせて下さい」
「…俺の?」
「……っ、はい…。
あ、あたしのこと…っ、呼んで下さいっ…」
一歩一歩詰めた距離は、いつのまにかだいぶ近くなっていた。
飯島くんの座っている跳び箱は、もう、すぐ目の前だ。
「……風花」
「……えっ?」
もう一歩進めようとしていた足が止まる。
それにふっ、と飯島くんは微笑を浮かべてあたしを見た。
「…って、呼んでたんだよね。
俺、一年の時」
「……えっ…?」
「ほら、岳がそう呼んでたから。
俺、朝比奈さんとの会話、携帯だけだったしね」
「……あ」
そっ…か。
そうか。 あの時の会話はずっと飯島くんだったんだもんな。
そう思うとなんだか変な感じがした。
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