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「……っ、し、心臓が…っ！
と、止まります…っ！」
「…そっか。
じゃあ次は呼吸困難にしてあげる」
「んんっ…」
下から覗き込まれたと思ったらあっという間に奪われたのは唇。
不意打ちすぎて、もう心臓も身体も対応しきれない。
「えっ、ちょ、ずる…っん」
「キスの最中は喋らないこと」
「は、はいっ？！だ、だって…」
「ほら、気を抜かないで？ 次のキス来るよ？」
「えっ……んんっ」
慣れてないあたしを良いことに、飯島くんはどこか楽しそうにキスをする。
近すぎて表情は分からないけれど、それでも弾んだ声からそんな気持ちが届いた気がした。
「……っ、は」
やがて、何回したか数えられないほど唇に熱を落とされたあと、飯島くんがおでこをコツリとあたしの額に当ててほんの少しだけ目を細めた。
肩で息をするあたしとは全然違う、飯島くんの全く乱れていない呼吸。
その余裕がすごく悔しい。
「……飯島くんって、ほんと完璧…」
「……そうでもないと思うけど」
飯島くんはあたしから少しだけ身体を離して首を傾げる。
本当に全く自覚していないんだな、というのが手に取るように分かった。
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