11.*本音*

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「朝比奈さんって、よくそういうこと、まっすぐに言えるよね」 飯島くんの頬の赤みが引いてきた頃。 飯島くんは頬杖をつきながら、呆れたような目であたしを見下ろしてきた。 「…いや、恥ずかしいですよ?」 「うん。だから、普通は言えないんだよ」 「……え、でも。 言わなきゃ伝わらないじゃないですか」 「……分かってても言えないモノなんだけどね」 そう言って飯島くんは小さなため息を吐いた。 その顔を見上げながら、あたしは顔の前に一本、人差指を立てた。 「……じゃあ、実は言いたかったこともう一つ言ってもいいですか?」 「…ん? 何? 恥ずかしいことなの? それ」 「……若干。」 「………」 それを聞いて、ぐっ、とつまった飯島くんを見て、ふと笑みが漏れる。 そのまま流れに任せるように提案を出した。 「……今週の、土曜日。 会いたい、です」 「……、つまりデートがしたいってこと?」 「つまり、そういうことです」 「…ふーん」 飯島くんはあたしから視線をそらして、少し考えるような仕草を見せた後、ふと顔を上げて 「俺も一個、恥ずかしいこと言ってみてもいい?」 と左手で頬杖つきながら、あたしと同じように右手で一本の人差指をたててきた。
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