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「えっ、あ、どうぞ!」
飯島くんがそんな提案を出してくるとは思わなかったから、ビックリして少し大きな声が出た。
勧めるように飯島くんに両手を向けると飯島くんは飄々とした態度のまま、
「会うの、日曜日がいい」
と短く言った。
「……え?」
鳩が豆鉄砲でもくらったかのような反応を見せたあたしを見て飯島くんが、また少しだけ目を細める。
そして
「……日曜日、俺の誕生日なんだよね」
と付け加えた。
「えっ…、えっ!?
誕生日なんですか!?」
驚きの事実に、思わず飯島くんの座っている跳び箱にしがみつくように、身体を近づける。
飯島くんは「うん」と短く返事をして、あたしの頭をポンポンと撫でた。
「だからさ。
朝比奈さんに、会おうかなって思って」
「…えっ、いいんですか!?
そんな大事な日、あたしにくれちゃっても!?」
「そんな大事な日、だから”彼女”に会いたいんでしょ」
わざと”彼女”を強調させて飯島くんが悪戯っぽく笑う。
それで頬が赤くなるあたしのことを、きっと知っているからだ。
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