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「……あ、あの…」
「ん?」
まだ冷めない頬の熱を隠すように、手の甲を自分の頬に当てる。
若干俯いたその体制を保ったまま、小さな声で呟いた。
「ど、土曜日も、会いたいんですけど…」
「……」
わがままだと分かっていて言った言葉。
断られること前提で口に出しているから、覚悟は決まっている。
「………」
なかなか飯島くんの返事が返ってこないから、そうっと顔をあげて飯島くんを盗み見る。
飯島くんは眉間に皺を寄せて、考え込んでいるようだった。
「…あの、無理はしなくていいですよ…?」
かなり深刻そうに考えてる飯島くんの様子をうかがいながら、そうっと提案を出す。
飯島くんはあたしの言葉を聞いて顔をあげると難しそうな表情で言った。
「…無理では、ないんだけど」
「はい」
「……午後二時ぐらいまでが限界かな」
「……え」
「その後、俺確か仕事あるんだよね。
どうでもいいものだけど、休めそうにないから」
言い終わった後、はぁー、と深いため息をつく飯島くん。
その様子から、もしかして時間を作るために何か試行錯誤してくれたのかな、と心の中で思った。
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