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俺の投げた枕は杏奈に命中。
しかも、ドヤ顔してる中ぶつかったから、なんとも情けない構図だった。
俺に杏奈が投げたクッションが当たってすらいないのに、なんでドヤ顔してんだって話なんだけど。
「ちょっとは容赦してよ!」
杏奈が落下した枕を拾い上げながら俺を睨む。
「やだね」
「なんでっ!
いつも色々なこと皆適当なくせに!」
「だけど、やるならちゃんとやらないと。
特に勝負事は負けるの嫌なんだ」
「………」
杏奈は無言で俺を睨む。
俺はそれから視線を外して、わざと飄々とした態度を取った。
杏奈はそれを見ながら、悔しそうに胸の前で拳を振るわせる。
その態度がおかしくて、少し笑うと杏奈が口を尖らせた。
「何よ。
何で今日はそんなに海、テンション高いの?」
「……え、俺高い?」
「高い。
気持ち悪いほど高い」
「……気持ち悪いって」
俺に気持ち悪いなんて言う人初めて見たんだけど。
顔をひきつらせながら、杏奈を見ると杏奈は楽しそうににっこり笑った。
余裕そうな俺の表情がずっと不満だったらしい。
妙に負けず嫌いなのは、小さいときから何も変わっていないなと思った。
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