11.*本音*

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俺の投げた枕は杏奈に命中。 しかも、ドヤ顔してる中ぶつかったから、なんとも情けない構図だった。 俺に杏奈が投げたクッションが当たってすらいないのに、なんでドヤ顔してんだって話なんだけど。 「ちょっとは容赦してよ!」 杏奈が落下した枕を拾い上げながら俺を睨む。 「やだね」 「なんでっ! いつも色々なこと皆適当なくせに!」 「だけど、やるならちゃんとやらないと。 特に勝負事は負けるの嫌なんだ」 「………」 杏奈は無言で俺を睨む。 俺はそれから視線を外して、わざと飄々とした態度を取った。 杏奈はそれを見ながら、悔しそうに胸の前で拳を振るわせる。 その態度がおかしくて、少し笑うと杏奈が口を尖らせた。 「何よ。 何で今日はそんなに海、テンション高いの?」 「……え、俺高い?」 「高い。 気持ち悪いほど高い」 「……気持ち悪いって」 俺に気持ち悪いなんて言う人初めて見たんだけど。 顔をひきつらせながら、杏奈を見ると杏奈は楽しそうににっこり笑った。 余裕そうな俺の表情がずっと不満だったらしい。 妙に負けず嫌いなのは、小さいときから何も変わっていないなと思った。
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