11.*本音*

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『大人になる』 そういうことに段階を踏むのはきっと理由があると思う。 子供の時の世界にも、やっぱり嫌なところはたくさんあるし、我慢しなくてはいけないこともある。 それを成長するだに少しずつ学んでいく。 そして、少しずつ直球的な悪ではなくて、醜さの増した悪に少しずつ触れて、嫌悪感を感じながらも、そこで少しずつ慣れていく。 そういうのがきっと一般的な、良い意味か悪い意味かは置いておいたとしても『成長』と呼ぶものの一つだ。 だけど俺は違かった。 俺は誰が見ても分かるような悪なんてものはすっ飛ばして、いきなり気持ち悪いほど醜く見える『大人の悪』の場所へ手を伸ばしてしまった。 最初は嫌悪感の塊だった。 『大人』という存在そのものが嫌だと思うほどだった。 そしてその仲間にいつか入ることになる自分が嫌いだった。 今もどこかそういうところがある。 キライだ。 自分のことは好きじゃない。 やっていることの醜悪さも分かっているからなおさら。 自分で自分に嫌悪感を持っている。
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