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土曜日の午前10時。駅前。
「……よし」
化粧室の中で鏡とにらめっこしながらちょいちょい、と前髪の分け目を確認する。
横顔とかも体制を変えながらチェックしていた。
周りからおかしな目で見られてはいるけど構っている余裕はない。
今日こそは飯島くんに可愛いって思って貰いたいから。
今日の格好は、裾にフリルのついたギャザーワンピース。
ちょこちょこと紐で飾られたリボンがついているのがポイント。
ちょっと大人っぽいから着こなせるか心配だったけど少しだけ背伸びしてみることにした。
いっちゃんには「似合う」って言われたし大丈夫…、な、はず。
「よしっ」
携帯の時計が10時01分をさしたところで化粧室から飛び出した。
女の子は、デートには遅れた方が可愛いとこの前雑誌で見たから1分ほど遅くした。
本当は駅には20分も前からついていたんだけど、そんな風に思って貰えるなら手段は選べない。
……ただ、1分が限界だっただけで。
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