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飯島くんは指定通りの位置で、駅を支えている太い柱に寄りかかりながら暇そうにスマートフォンを見ていた。
ドレープカットソーは七分袖でグレー。それに紺のジーンズを合わせている。
そのシンプルな服装で、腰にぶら下がる三連チェーンと革紐で長めのネックレスが強調されていてすごくオシャレに見えた。
そして、あの顔。
駅を通る女の子がチラチラと見ているのは前回のデートの時と変わらない。
「いっ、飯島くん!」
こんなことに臆していては飯島くんの彼女はつとまらない。
気合いを入れて飯島くんに声をかける。
だけど、飯島くんはあたしの気合いに反するかのようにあたしの声を聞いた瞬間顔をあげて、柔らかく微笑んだ。
「おはよ、風花」
「………っ」
……駄目だ。
気合いなんて、この一瞬で全部ぬかれた。
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