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「何か買いたいものとかあるんですか?」
大型ショッピングモールのエレベーターの前。
そこにある地図を見ながら飯島くんに訊ねると、飯島くんはやんわりと首をふった。
「別に。何もないけど。
風花なんかないの?」
「あたしは……」
何もない、と言いかけて口を閉ざす。
ふと頭に浮かんだのは飯島くんの誕生日プレゼントだった。
「ん?
何かあった?」
「えっ…、いや、あの……。
とりあえずうろちょろしません?
服とかそういうの見たり」
「あー…、別にいいよ。
じゃあ行こうか」
ぐいっ、と手を引かれてされるがままに飯島くんとエレベーターに乗り込んだ。
……よし、うまくいった。
心の中だけでガッツポーズをする。
正直、飯島くんの趣味があまり分からない。
というかセンスが良すぎて、どうしたらいいのか分からない。
だから、今日飯島くんの反応がよかったものを誕生日プレゼントにしようと決めた。
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