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「このジャケットかっこいいですね!」
「そう?」
デニム生地のジャケットを手にとって飯島くんに見せると、飯島くんは両手をズボンのポケットに入れたまま首を傾げた。
……反応、微妙だな……。
ガッカリしながらジャケットを元の位置に戻す。
もう10回は同じやり取りを繰り返しているはずなのにまだ一度も当たっていなかった。
「飯島くん、服こだわりありますね…」
「いや、むしろないんじゃない?
何でもいいよ」
「………」
その台詞を言いながら、この格好って。
飄々とした態度で答える彼に絶句した。
そのセンスは神様からのお恵みならば、あたしに分けて欲しいくらいだ。
選択肢が減ってしまって、うーんと悩んでいると、飯島くんが思い出したように「あ」と短く声をあげた。
「靴なら、好き、かも」
「えっ、ホントですか?!」
「うん。
結構オシャレ好きだよ」
「じゃあ、行きましょう!」
ぐっ、と飯島くんの腕を掴んで軽く引く。
するとその手がポケットから飛び出て、あたしの手をぎゅっと握った。
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