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「……」
「……。
あのさ」
「は、はい」
「手、握る度に頬赤らめてたらこの先行けないよ?」
「……はい?」
言っている意味が分からなくて首を傾げる。
すると飯島くんは呆れたようにあたしを見下ろしてきた。
「俺の記憶が間違ってなければ、俺たち確かキスも済ましてるよね?」
「………っ!」
デパートのど真ん中で、何の躊躇いもなくそんなことを言ったから驚いて思わず足を止めた。
手を繋いでるから、必然的に飯島くんの足も止まる。
ぶわっと頬が熱くなって、手で冷ますように触れながら飯島くんに少し小さめの声で抗議した。
「なっ、なに言ってるんですか!」
「え、事実」
「いやいや、そういう意味ではなくて…!
今言ったらダメでしょう…!」
「いいじゃん、別に。
風花が思ってるより世の中の人はキスぐらいじゃ動揺しないよ」
「………」
それはそうかもしれないけども。
ここで納得すべきなのかどうなのか、分からなくなってきて頭を抱えると飯島くんは飄々とした態度で言ってのけた。
「俺は風花が俺のものって会話をしてるみたいで嬉しいけどね」
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