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「……え?」
「笑う?」
面食らったあたしを見て飯島くんが苦笑する。
あたしはそれに勢いよく首を振って、かわりに飯島くんの手をぎゅっと握った。
……そうだ。
飯島くんがあたしの彼氏になった、ということは、あたしが飯島くんの彼女になったということなんだ。
今更だと呆れられるかもしれないけれど、そんなことにやっと気づく。
あたしが飯島くんを欲している感情は、飯島くんと共有できるものになったんだ。
「……とりあえず。
靴買いに行こうか」
コホン、と一つ咳払いをして飯島くんがいう。
視線があさっての方向に向いているのは、きっと照れているからだと思う。
「はい」
自然と笑顔になって、答えると飯島くんが困ったように眉を寄せて、そのままふいっと視線を逸らした。
そしてそのまま口を開く。
「ずるいね、風花は」
「え?」
意味が分からなくて、ポカンとしていると、飯島くんは小さく舌を出して、
「可愛いって言ってんの」
とあたしの頭をくしゃっと撫でた。
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