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「あ、これもいい。
この店いーね」
飯島くんが、見てる棚の隣にあったブーツを手に取る。
こんなふうに普通の高校生みたいに楽しむ姿、見たことなかった。
いつも大人びていて、冷静だったから。
「あの……、飯島くん」
「ん?」
「あたしも、少し店内うろちょろしていいですか?」
「どーぞ、どーぞ」
飯島くんがしゃがんだままの体制であたしを見上げる。
上目遣いで見上げられるのなんか初めてで、ドキドキした。
「じゃあ、……いってきます」
「ふは、……いってらっしゃい。」
ふ、と飯島くんが細めた目は直視できそうにないくらい優しげで、息が詰まる。
「ちゃんと俺のとこに戻ってきてね、風花」
冗談めかしてそう言いながら飯島くんは、ヒラヒラと片手を力なくふった。
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