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『可愛いって言ってんの』
照れた顔でそう言った飯島くんを思い出した。
思い出しただけで、胸の奥がきゅうっとなる。
……お世辞、じゃないよね。
それでも疑う自分がイヤになる。
軽い自己嫌悪。
サンダルの並ぶ棚に手をついて、はーっとため息をはくと隣の女の子たちがキャア、と黄色い声をあげた。
「ねねっ、イケメンこっち来たよっ」
「てかめちゃめちゃ、こっち見てないっ!?」
「うちら見すぎたかなー」
呑気な女の子たちは嬉しそうだけど、あたしは氷点下の世界に連れ出される。
今、飯島くんの隣に並びたくない。
それでも逃げるのはさすがに不信だから、そんなことをするわけにもいかない。
どうしようもなく、そのままの体制で俯いていると、
「風花、良いのあった?」
心地いい声が、あたしの耳を擽った。
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