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「あっ、はいっ!」
何となく顔をあげられなくて、俯いたままムダに力の入った返事をする。
飯島くんは、それを聞いて「どれ?」と首を傾げた。
「あー、あのっ!これですっ」
「……。意外。
こんなヒールの高いサンダル履くんだね」
「えっ?」
適当に取ったサンダルを見下ろすと、確かにヒールが7センチ近くある。
それを見て、「あぁ!」と短く声をあげた。
「ちっ、違いますっ!
これはちょっとした手違いでして…!」
「好きな物の手違いって何?」
明らかに疑っている顔の飯島くん。
それを見たあたしはますます窮地に追いやられる。
「…いやっ、あの…」
「どうしたの。さっきから暗い顔して。
俺の方チラチラ見てるし。
なんか気になるんだけど」
「……!」
あたしがチラチラ飯島くんのことを見てたこと気づいてたから、こっちに来てくれたんだ。
こんなに離れているのに、あたしがやってることまで把握している飯島くんはさすがというか、なんというか…。
やっぱりあたしには真似できない観察眼だ。
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