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「………」
「……」
『さーて本日は…』と明るい口調で流れるDJの声だけがあたしと飯島くんとの間に流れる。
気まずい空気になってしまった。
どう弁解したらいいのか分からないけれど、本当に気づいて欲しくなかった。
飯島くんの完璧すぎる長所が今は憎い。
「……今は、言えません」
「………」
飯島くんがピクリと眉を動かす。
それに何となく後ろめたさを感じて視線をそらした。
気にしたのは気まずい空気をまとっているあたし達を野次馬感覚で見つめているさっきの女の子二人だ。
飯島くんはその二人を背中にしているから見えていないけれど、あたしには興味津々でこちらを見てる姿が視界に入っている。
さすがに目を合わせるのはこちらとしても気まずいから、合わせてはいないけれど。
「……なんか、気に触った?」
「え?」
「俺の態度」
「……」
飯島くんが若干ダルそうに自分の首の後ろに左手を持って行く。
チラリと覗くようにしてその視線がピタリとあたしで止まった。
「……いえ」
「…。
ふーん」
……何でだろう。
こんなデートになんかしたくないのに、モヤモヤが消えてくれない。
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