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「……、あたし、も好き…です」
「…うん」
「……誰よりも、飯島くんが好きです……っ!」
「……うん、俺も」
幾度交わしても伝えられないと、心底感じていてそれでも言葉に出した。
出さなくちゃ、気持ちが破裂してしまいそうだった。
好きで、好きで、好きで。
どうしようもない。
この気持ちは、一体何人と共有できる物なのかなんてあたしは知らない。
こんなに魅力的な人に惹かれない女の子なんてきっと、ほとんどいない。
当たり前だ。
こんなに素敵な人はこの世に他にはいない。
でも、だから絶対にゆずれない。
不格好で良い。釣り合わなくて良い。
いや、許しなんか必要なかった。
あたしはこの人以外なんか考えられるわけがない。
この人に会ってしまったら、もう二度と他の恋はできない。
「……風花」
耳元で囁かれたあたしの名前。
それだけでかるく目眩が起きる。
飯島くんはあたしの身体をほんの少しだけ離すと、そのままゆっくりとあたしのこめかみにキスを落とした。
それは、頬、鼻先、額、まぶた、と続いていく。
「………信じられない」
飯島くんの吐息を唇に感じながら、薄く眼瞼をあけると、困り果てた飯島くんの表情がそこにはあった。
「人間ってさ、こんなに人を好きになれるんだね」
その言葉に目を見開いた瞬間、飯島くんはゆっくりとあたしの唇にキスを一つ落とした。
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