12.*明日*

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「……、あたし、も好き…です」 「…うん」 「……誰よりも、飯島くんが好きです……っ!」 「……うん、俺も」 幾度交わしても伝えられないと、心底感じていてそれでも言葉に出した。 出さなくちゃ、気持ちが破裂してしまいそうだった。 好きで、好きで、好きで。 どうしようもない。 この気持ちは、一体何人と共有できる物なのかなんてあたしは知らない。 こんなに魅力的な人に惹かれない女の子なんてきっと、ほとんどいない。 当たり前だ。 こんなに素敵な人はこの世に他にはいない。 でも、だから絶対にゆずれない。 不格好で良い。釣り合わなくて良い。 いや、許しなんか必要なかった。 あたしはこの人以外なんか考えられるわけがない。 この人に会ってしまったら、もう二度と他の恋はできない。 「……風花」 耳元で囁かれたあたしの名前。 それだけでかるく目眩が起きる。 飯島くんはあたしの身体をほんの少しだけ離すと、そのままゆっくりとあたしのこめかみにキスを落とした。 それは、頬、鼻先、額、まぶた、と続いていく。 「………信じられない」 飯島くんの吐息を唇に感じながら、薄く眼瞼をあけると、困り果てた飯島くんの表情がそこにはあった。 「人間ってさ、こんなに人を好きになれるんだね」 その言葉に目を見開いた瞬間、飯島くんはゆっくりとあたしの唇にキスを一つ落とした。
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