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「……どうして」
「……え?」
唇を離すと、飯島くんはやっぱり困り果てたようにあたしを見ていて、その目が柔らかに揺れた。
「どうして、こんなに可愛いんだろう」
「……っ」
「どうして、こんなに愛しいんだろう」
頬擦りするように、あたしの髪にぴったりと頬を寄せて、後頭部の髪を梳く飯島くん。
その声に、言葉に、この人本人に酔いしれるように、あたしはまたゆっくりと目を閉じた。
ふわりとあたしと飯島くんを撫でる風が、甘い香りをほのかに運ぶ。
「愛しい」じゃ、片付けられないこの思いがどうしようもなく止められない。
……あぁ、よかった。
この人に、恋をしてよかった。
心底そう思えた。
これから先何があっても、きっとこの恋だけは絶対に後悔はしないだろう。
きっとこの恋だけは止められはしない。
バカにされて良い。笑えばいい。
青春だと、そう言って子供扱いされたって構わない。
あたしはこの人が好きなんだ。
この人がいいんだ。
この人じゃなきゃ駄目なんだ。
世界で誰よりも、―――好きなんだ。
そう実感して、あたしはゆっくりとその存在を確かめるように飯島くんの肩に顔を埋めた。
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