12.*明日*

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どれくらい時間がたったのだろう。 飯島くんと抱き合っていた時間は長いような短いような、曖昧な感覚で。 ふわふわと地に足着かない状態のままだった。 だけど、飯島くんが身体を離したことで、それが自然と消えていく。 「…駄目だ、行かないと」 「え?」 「……仕事だ」 はーっ、と飯島くんはこれまでにないくらい、嫌そうな顔でため息をついた。 そして憎々しげに自分の腕時計を眺めている。 それを見ると、時計の針は2時を2分ほど過ぎていた。 「…わっ、時間過ぎてるじゃないですか!」 「うん…。 まぁ、いいかって思ってたんだけどね。 駄目だね、職業病っていうの? こういうのも」 はーっ、と飯島くんはまた深いため息。 それに苦笑いしてると、飯島くんはあたしの頬に手を添えた。 「ごめんね、お昼食べてないね、俺ら」 「あ、いえいえっ!そんな!」 「でも、お腹すかせちゃったよね。 この辺においしいパスタのお店あったんだけどな」 「いやっ、あの、ほんとに…! そんなの自分で食べるので! というか、むしろ困るのは飯島くんなんじゃ…」 言いかけて、自分で自分の言葉に実感してしまった。 当たり前だけど、飯島くんはこれから仕事。 あたしは食べてる余裕はあるけど飯島くんはない。
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