12.*明日*

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「あんまり人を信用しすぎんなよ、海」 「…は…?」 「今回は俺が悪いんじゃなくて、注意力が欠如していたお前が悪い」 「……」 反論なんかできなかった。 確かに注意力と判断力がなかった俺が悪い。 「……は…」 身体がダルい。 唇を開けるのもキツイくらいに。 風花の元に行かなくちゃ行けないのに、ダルイ。 周りがほぼ無音の状況が心地よく感じた。 甘い夢の世界へ俺を誘おうとしているような錯覚を感じる。 風花の元に行きたい。 そう、強く思った。 ここで眠ってしまえばすぐに風花に会うことが出来るのに。 夢さえ見てしまえば、俺絶対に風花に会えるのに。 だけど、それでもどうしても。 今、目の前の状況から目をそらすことはできなかった。 ここで諦めてしまえば風花が泣く。 それだけは、絶対に何があってもしたくない。 「……マジで、離して。…空」 「無理だ。悪いな」 「……じゃあ、つれてってよ。風花のトコに」 「………」 無言はきっと否定の証なのだろう。 何がこんな風に空を動かしているのかさっぱり分からないけれど。 「悪いな、海」 重力に必死で逆らっていた身体が突如軽くなる。 空に担ぎ上げられたんだな、とぼんやり思った。
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