12.*明日*

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揺れる身体が、俺を眠りに誘う。 ちょうどゆりかごのように、ゆらゆら。ゆらゆら。 自分の力不足が嫌だと思うほど俺の胸を突いた。 薄く開いた目に入ってくるのが広すぎる床だということが、空虚に感じた。 空が見たい。 こんな建物なんかじゃなくて、青い空が見たい。 昨日の公園で見たみたいな、自由な場所に行きたい。 風花と一緒に行ってみたい。 ずっと前から、本当は心のどこかで気づいていた。 今こうやって風花と居る時間がそう長くは続かないこと。 婚約者に別れを告げたから。 父親に自分の決意を告げたから。 だから何だって言うんだ。 何も。何も変わりはしない、そんなことじゃこの世界は。 そんなことで変わるんだったら俺はあんなに、風花の告白を受けることを渋ったりしなかった。 だけどそれでも、ただ手に入れたかった。 ただ、そばに居て笑って欲しかった。 一時で良いから幸福を感じてみたかった。 ただ、それだけ。 おれの自己満足。 でも、だめだ。満足できない。 まだまだ全然、全然風花が足りない。 思い出にするには、まだまだ全然足りなすぎて苦しい。 もっと声が聞きたい。もっと触れたい。 もっとキスがしたい。 一生かかっても言い切れないほど好きだと言いたい。 それだけを叶えることがどうしてこんなにも難しいのだろう。
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