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揺れる身体が、俺を眠りに誘う。
ちょうどゆりかごのように、ゆらゆら。ゆらゆら。
自分の力不足が嫌だと思うほど俺の胸を突いた。
薄く開いた目に入ってくるのが広すぎる床だということが、空虚に感じた。
空が見たい。
こんな建物なんかじゃなくて、青い空が見たい。
昨日の公園で見たみたいな、自由な場所に行きたい。
風花と一緒に行ってみたい。
ずっと前から、本当は心のどこかで気づいていた。
今こうやって風花と居る時間がそう長くは続かないこと。
婚約者に別れを告げたから。
父親に自分の決意を告げたから。
だから何だって言うんだ。
何も。何も変わりはしない、そんなことじゃこの世界は。
そんなことで変わるんだったら俺はあんなに、風花の告白を受けることを渋ったりしなかった。
だけどそれでも、ただ手に入れたかった。
ただ、そばに居て笑って欲しかった。
一時で良いから幸福を感じてみたかった。
ただ、それだけ。
おれの自己満足。
でも、だめだ。満足できない。
まだまだ全然、全然風花が足りない。
思い出にするには、まだまだ全然足りなすぎて苦しい。
もっと声が聞きたい。もっと触れたい。
もっとキスがしたい。
一生かかっても言い切れないほど好きだと言いたい。
それだけを叶えることがどうしてこんなにも難しいのだろう。
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