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「海と結婚をするってことはね、それなりの代償が必要になるの」
「……はい」
「あたしの口からこんなことを言うのはどうかとは思うけど、海は今まで風花ちゃんみたいに綺麗な人生ロードは歩いてないの」
「……え」
「風花ちゃんには想像できないような場所にいる人だし、きっといつか知ることになると思う。」
「……」
「だから、無理に頷かなくて良いの。
本当に嫌だったら別に……」
「いえ、します」
「……」
あたしの即決の答えに杏奈先輩が眉を寄せた。
そして、困ったようにあたしに笑いかける。
「ごめんね。あたしも悪かったの。
でも別に引っ込みつかなくなっちゃったこと気にしなくても…」
「そんなこと気にしてません。
本心で言ってるつもりです」
「……」
本当だった。
心の底から本心をさらけ出していた。
飯島くんがどんな人生を歩いてきたのかをあたしは詳しくは知らない。
もしかしたらそれだからこそ、飯島くんのそばに居られるのかも知れない。
でもそれでもいいと思った。
それならソレで良いと思った。
だってあたしが見てきた飯島くんは例えどんな過去を持っていたってなくなりはしない。
その過去と同じように、それも現実。
確かな過去の一つなんだ。
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