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「ちょちょ、ちょっと待って下さい。
裏から回ってとかそういうんじゃないですよね?!」
「えぇ。
それじゃ意味ないから、公開的に略奪して貰いたいの」
「なっ、なんでそんな一番ど派手なことをしなくちゃいけないんですかっ!?」
頭いい人二人で一生懸命考えた結論が、それだなんておかしすぎる。
ビックリして唖然としていると杏奈先輩はやっぱり極上級の笑顔を絶やさないまま言った。
「ど派手な方が好都合なのよ」
「はい?」
「例えば裏からこそこそ回って逃げ出したとしても、あの親父のことよ?
酷い熱で倒れたとか、急性なんちゃら炎にかかったとか。
そういうこじつけで、どうにかしちゃいそうなのよ。
そしたらまた結婚の話が出ちゃってエンドレス。
それじゃあ困るのよね」
「はぁ……」
「やるなら一回で済ませたい。
だから言い訳できないように公の場で略奪して逃げちゃうの。
それにそうすれば相手側はもう二度と結婚させようとはしないだろうしね」
「……あぁ」
「それにあと一つは愛咲のことよ」
……愛咲ちゃん。
その言葉で、教室で泣いていた彼女の姿がフラッシュバックしてまた胸が苦しくなった。
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