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「ここで待機してて」
「……」
結婚式が始まると言われている10分前。
そわそわした面持ちのあたしとは対称的に杏奈先輩は鼻歌交じりで、教会の入口に立っていた。
「あ、あの……、いつどうやって出て行けばいいのやら…」
「うん、とりあえずあたしが風花に電話するから。
電話来たらこのドアをあけて海をさらって逃げてね」
「あの、なんかサラッと話が進んでますけど、本当に大丈夫なんですかね?これ」
「大丈夫だから!気にしなくて良いから。
海もこのこと知ってるし」
「えっ、知ってるんですか!?」
「うん、空がこの計画話してるはずだから分かってると思うよ」
「……そうですか」
飯島くんが知っているなら少し安心できるかも。
ホッと息をつくと杏奈先輩がそれを見てクスリと笑った。
「海には信頼あるのね」
「えっ、いや…!
そういうことではないですけど…っ!」
「いいのよ。
そういう関係になってくれていることが嬉しいんだから」
杏奈先輩はふわっと笑ってそう言うと、
「じゃあ、またね」
ひらっと手を振って教会の中へと消えていった。
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