01.*契約*

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ガタン…ガタン… 電車が動き出す。 あたしはゆっくりと彼から視線をそらした。 別に、話したことがある訳じゃない。 2年間クラスが同じという腐れ縁で繋がっているだけ。 きっと彼は、あたしの存在は気にも止めてない。 あたしだってよく知らない。 毎朝見ているけど分からない。 知っている、といえば、毎朝ブレザーの内ポケットから取り出すものがスマホではなくガラケーだということ。 毎朝、それを見ているということ。 それから、学校ではいつも昼休みにいないこと。 授業中よく寝ること。 あと、名前が飯島海(いいじま うみ)ということ。 先輩の弟だということ。
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