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無理矢理捕まって聞いた計画は本当にバカみたいだった。
正面切って風花が俺をさらうなんて、ドラマじゃあるまいしと鼻で笑うようなことだった。
でもなんだ、これ。
なんなんだろ、これ。
新婦が入ってくるのを見た時、その後ろに見えた風花の影。
どんなに綺麗に着飾ったその新婦よりも、俺の目は風花を捕らえていて、そしてそこにどうしようもないほど嬉しいという感情がわき上がる。
マジで来てくれたんだ。
そんなソワソワした面持ちをしているのは俺の所為?
今なんて思ってる?俺のコト気にしてる?
ヤバイ、バカみたいだ。
こんな子供みたいなことを考えるようになっていたなんて気づかなかった。
風花の思考の中に俺が入っているという現実がたまらなく嬉しい。
俺のいない時間に俺という存在を考えてくれることが嬉しい。
誓いの言葉はまるで、俺が風花に当てたもののように感じた。
誓います、なんて言えそうになかった。
風花がくるのをおとなしく待っていればいいのに、そんなことはできなかった。
例えぶち壊す予定の結婚式だって、確かにここは神様の眼前。
だったら嘘はつけない。
俺の誓う相手はこの後ろにいる女の子だから。
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