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「わわっ、い、飯島くん……っ!
ド、ドキドキしちゃうんですけど……っ」
「うん、するね」
「す、するねって…っ!」
「だってしてるし。
いいじゃん、それが心地良いんだから」
「……」
俺の言葉に、う。と風花がつまってまた黙りこくる。
かぁっと熱くなった頬の熱が風花の首筋にまで伝わってきたから、近すぎて顔の見えないこの距離でも風花の表情が手に取るように分かった。
「……あー、ここ。好き」
「え?」
「ここ。
この場所。本当に好き」
甘えるように頬をその肩に擦りつける。
俺の頬を撫でる風花の髪がくすぐったい。
くすぐったくて、くすぐったくて、すごくすごく幸せだ。
天国から地獄っていうけど、地獄から天国だ、俺の場合。
奈落の底に落とされたって、ここがあれば生きていけるような気がする。
この場所に戻ってくるためなら何でも出来るような気がする。
でも、もうこの場所のない世界では生きていけなくなった。
「あー、ずるい」
「え?」
俺の呟いた言葉に風花が反応して、少し身体を起こす。
それを止めるように俺はさらに甘えた。
「もう、ダメ」
「え、何がですか?」
「うん、だからもうダメってことだよ」
「はい?」
意味が分からないという顔でポカーンとする風花。
その頬に俺は愛しくて愛しくてたまらないから、触れるだけのキスをした。
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