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「わっ、何ですか!
心臓に悪いです、不意打ちは」
「じゃあ、次から予告するようにするね」
「……そ、それも……。うーん」
「じゃあ、早速予告。
あと10分以内にキス10回するから」
「はい?!」
「はい、一回目ー」
そう言って、彼女の肩からほんの少しだけ頭を浮かせてその耳たぶにキスを落とす。
ビクッと風花の身体が揺れて、俺の触れた耳たぶが真っ赤に染まった。
「い、今の不意打ちですよっ……」
「え、なんで?予告したけど」
「い、いまのなんか予告には……!」
「はい、二回目ー」
そう言って今度はさらに身体を起こし、眼瞼にキスを落とす。
風花はふいをつかれたそれに戸惑ったように反射的に瞑った目をそーっと開けた。
「……ず、ずるい」
「なんで?」
真っ赤に染まった頬が嬉しくて、嬉しくて。
もっといじめたくなって風花にこれでもか、ってほど顔を近づける。
するとさらに頬を熱くした風花が困ったように眉を寄せたのが、近距離でぼやけてはいるけど何となく分かって、ふっと笑みが漏れた。
「……っ、ずるい」
風花が呟いたその瞬間、一瞬だけ目の前の目が閉じられたかと思ったらふいに塞がれた俺の唇。
キスされた、と気づく前には唇が離れていて、目の前の顔はしたり顔で小さく舌を出す。
「……三回目」
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