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「こんなので真っ赤になってたらこの次、どうするの?」
わざと見せつけるようにして自分の唇を舐めると、風花が困惑した様子で壁に思い切り背中を押しつける。
本能的に、逃げようという精神が働いているのかも知れないけど、そんなことで俺は彼女を逃がしたりしない。
この腕の中に捕らえたら最後、絶対に離さない。
「……つ、次って」
「うん、さっき言ってた10回を1回で済ませるようなキス。
教えてあげようか?」
「……っ」
俺が顔を近づけると、風花は華奢な肩をピクッと震わせた。
真っ赤な顔が少し怯えたようにして俺を見上げる。
それが逆効果だと分かっていないのが、俺の彼女。
「………拒否、しないと本当にするよ?」
「……」
半分はお遊びのような気分で風花をいじめていたけれど、こうも可愛い反応をされたらさすがに困って、自分から理性を戻すような言葉がつい口から零れ出た。
壁についた両手の力も少し緩める。
風花がほどこうと思えば、ほどける程度にした。
「……いい…」
「……風花?」
「…そういうキス、していい…、です」
「………」
風花の言った言葉に思考が停止する。
でも、これ以上ないってくらい真っ赤な顔が不安そうに俺を見上げているから、聞き間違いでは、……ない。
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